第26回 梅味噌、梅味噌豆

雨は、どうにも
やる気をなくさせます。

本当は雨のせいにして、
休みたくなるだけなのかもしれません。
けれど、やまない雨を窓の外に見て、
悲しい気分になってしまいます。

私に反して、庭の緑は
雨に濡れて、なおいっそう元気です。

太陽も出ていないのに、
今年最初のひまわりも咲いていました。
 

今週書く予定にしていた
料理にとりかかろうとしても、
雨のせいか、今の気分と合いません。

普段は、何かを作ろうとして買うのではなく、
美味しそうな食材を買い求めてから、
さて何を作ろうかと考えるので、
料理の予定を立てるのは苦手なのです。

その時の気分に合わないと、美味しくも作れません。

なので予定を変更して、梅雨らしく
梅周りの仕事をすることにしました。

梅雨に入った頃、買い求めた梅。
熟していくときに放つ、甘くやわらかな匂い。
日に日に赤みを帯びていく梅の頬も
なんてかわいいのだろう。

去年初めてトライした自家製の梅干し。
期待以上に美味しくできたので、
今年も早速とりかかりました。

自家製にして良かったのは、
一粒一粒大切に頂くようになったということです。

例えば、梅干しの種も簡単には捨てられません。
塩分も、美味しい梅の風味も残っている種は、
お味噌汁や、煮物を作る時の隠し味として
使うようになりました。

これも自ら手をかけて、大切に育てた梅干しだから
やっとできるようになったことです。

一から手をかけたものは、
最後の最後まで看取りたく
なるものなのですね。

さて、梅と塩、焼酎で下漬けして1週間ほど。
白梅酢があがってきました。
今日はここに赤紫蘇を加えます。

短い時期しか出回らない赤紫蘇。
ついでに赤紫蘇酢、赤紫蘇ジュースも作りました。
鮮やかな色合いに、やっと
気分が前向きになってきました。
 

梅干しの他に、毎年
梅酒、梅酢も漬けています。

梅酒にはいつも黒糖を使います。
控えめの甘さに仕上げても、しっかりコクが出ます。
どう転んでも、美味しく仕上がるようです。

きっと何年も熟成させたら
さぞや濃厚な美味しい梅酒を
楽しめるのではと思うのですが、
美味しさにつられて、ついつい飲み過ぎてしまうので
1年もたせるのがやっとです。
 

そういえば去年は、
梅味噌も仕込みました。

目に見えてぶくぶくと発酵しながら、
まろやかな味へと変貌していくのが、
他の梅のものと違って面白いところです。

甘酸っぱくて、濃厚。
そのままで十分、主張のあるソースです。

生野菜、温野菜と合わせたり、
魚や肉につけて焼いたり、煮込んだり、
お豆腐やこんにゃく、うどんやそうめんにも合います。
あまりに万能なので、紹介しきれません。

今日は、煮ておいたお豆があったので
和えたあと、少し炒めて
香ばしさをプラスして頂きました。

そのままでも、ご飯のお供にも良いです。
お豆は何の種類でも楽しめると思います。

鰹節を加えましたが、入れないで
甘く煮たお豆でおやつ風に仕上げても、
良さそうです。

箸休めにもぴったりです。

気分がのらないと、雨のせいにしていましたが
美味しいものを作ったおかげで、
気分も少しずつ晴れてきました。

庭の緑にとっては、恵みの雨です。
晴れた日の水まきのために、
じょうろやバケツを外に出して
雨水を貯めておくことにします。

雨の時期も大切に感じなければ、
それこそもったいないですね。(2009年6月30日更新)

参考文献:家の会協会編『漬け物百科』家の会協会、2005年

コラム

梅味噌、梅味噌豆


【梅味噌】

材料:梅(完熟) 1キロ、 味噌 1キロ、 甜菜糖(または砂糖) 700g

1)梅は洗ったあと、ヘタをとり、水気を拭いておく。
2)口の広いビンや琺瑯の容器に、梅、味噌、甜菜糖を入れてよく混ぜ、
  紙やガーゼなどの布をかぶせて、口を紐でしばる。常温で保存する。
3)毎日、下からよく混ぜ合わせる。ぶくぶくと発酵してくるので、
  この発酵がおさまるまで、1ケ月程度、毎日混ぜる。
4)漬けた梅を取り出して、種を取り除く。果肉はそのままでも良いし、
  なめらかなものが好きであればミキサーでペースト状にして、味噌に戻す。
5)清潔なビンなどに、まだ発酵が続くので入れすぎないように詰めて、冷蔵庫で保存する。

【梅味噌豆】

材料:大豆 100g、 水 3カップ、 塩 ひとつまみ、 梅味噌 大さじ5、
   粉鰹 大さじ1、 生姜 1かけ

1)大豆は洗ったあと、一晩水に漬けておく。
2)1)に塩を加えて、火にかける。
  沸騰したらアクをとり、弱火で1時間ほど煮る。
3)適度な固さになったら取り出し、ざるにあげて水気をよく切る。
4)フライパンに大豆、梅味噌、粉鰹、生姜のすりおろしを入れ、
  焦げ付かないように混ぜ合わせながら、水分をとばす。
  全体がねっとりと絡まればできあがり。

*梅味噌は1年ほどで食べきるようにしてください。
*大豆は市販の缶詰や水煮なども利用すれば、手早くできます。

バックナンバー

ごあいさつ

第1回 蕪、酒粕、豆乳のスープ

第2回 黒豆、シナモン風味

第3回 鶏だしスープのトック(韓国雑煮)

第4回 干し大根のソテー、ケッパーソース

第5回 冬のジャム、生姜とはちみつ風味

第6回 おかき、三種

第7回 スパイシーチョコレートケーキ

第8回 カリフラワーのサブジ

第9回 春菊ペーストのパスタ

第10回 雪ノ下の天ぷら

第11回 長葱のクリームチーズ和え

第12回 春キャベツとささみの蒸し煮

第13回 新玉葱、ドライトマトのマリネ

第14回 サンドイッチフィリング、三種

第15回 クレソン、生姜のお稲荷さん

第16回 新じゃが、プルーンの煮込み

第17回 うちのトマトパスタとルッコラのサラダ

第18回 筍のピクルス

第19回 牛蒡(ごぼう)と胡桃のキャラメリゼ

第20回 おからたっぷりのスコーン

第21回 人参のサラダ、人参のポタージュ

第22回 生らっきょうのフリット、ローズマリー風...

第23回 味付け卵、八角風味

第24回 アイリッシュソーダブレッド

第25回 イカ、トマト、ミントの炒め

第26回 梅味噌、梅味噌豆

第27回 塩豚、茹で豚

第28回 ガーリックトースト

第29回 ローズマリーポテト

第30回 葉唐辛子、鶏肉のカレー

第31回 夏のキムチ三種

第32回 ラタトゥユ、ガスパチョ

第33回 生姜ジュース

第34回 セミドライトマト

無花果(いちじく)のソテー、サラダ、白味噌和え

第36回 南瓜(かぼちゃ)のグリル、玉葱のソース

第37回 緑のサラダ、赤のサラダ、黒のサラダ

第38回 蕎麦粉のガレット

第39回 柿、ディルのクリームチーズ和え

第40回 蛸(たこ)、青海苔のクリームソースパス...

第41回 ドライフルーツ、ナッツのケーキ

第42回 豚のスペアリブ、棗(なつめ)の煮込み

第43回 焼き芋、レモンバターソース添え

第44回 野菜ルーのカレー

第45回 コジード・ア・ポルトゲーザ(ポルトガル...

第46回 鰯の塩焼きとカルド・ヴェルデ

第47回 ヨーグルトパンケーキ

最終回 牛すじの煮込み


アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。


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