第3回 鶏だしスープのトック(韓国雑煮)

古いボウル二つ。
長い間、それも毎日使い込まれて
底ははげて、形もすっかりいびつになっています。

おばあちゃんが何十年か使ったものを
ゆずってもらいました。

そのボウルが欲しいと言ったら
こんな古くて汚いのより新しいのを買ってあげる
と言われたのですが
おばあちゃんが長く使い込んだボウルだからこそ
私にには意味があるのです。

今日は、1つのボウルには水をはって
セリ、クレソンの保存を、
もうひとつのボウルにはトック
(正確にはトッ、韓国のお米からできているお餅)を
調理前に水にさらしておきました。

使わない日はないほど、よく働いています。
  
  
私が料理を好きになった理由のひとつに
広島の田舎に住む、おばあちゃんの暮らし、
生き方への憧れがあります。

山あいの自然豊かな土地にある
おばあちゃんの家には、私が小さい頃にはまだ
土間の台所や五右衛門風呂がありました。

畑を耕し、とれたての野菜を頂く。
いろいろな保存食を作っておく。
人が集まれば、たくさんのご馳走でもてなす。

そんなおばあちゃんのお手伝いから
教えてもらったことがたくさんあります。

一番は、暮らす、ということへの丁寧な態度。
ひとつひとつにとても時間がかかるけれど
そこには、何ひとつ無駄がないこと。

そして、暮らす、にまつわることしかない毎日。
きっとその時代の多くのおばあちゃんがそうであったように
一日中忙しく働いていたように思います。

便利で、物にあふれて
いろんな娯楽になびいてしまう自分が
とても小さく思えます。
  
  
おばあちゃんに教えてもらった
というより、見よう見まねで覚えた料理は
私の毎日にもたびたび登場します。

鶏そぼろを使ったスープもそうです。

少し味が濃いめの鶏そぼろを作って、
水を入れるだけであっという間に出来るというのに、
しっかりとしたコクが楽しめるスープです。

味わうたびに
おばあちゃんを思い出します。
  
  
何と合わせても美味しい一椀になります。
好きな具を入れて、楽しんでください。(2009年1月13日更新)

コラム

鶏だしスープのトック(韓国雑煮)


材料:鶏ムネのひき肉200g、酒大さじ1、醤油大さじ3、水5カップ、
トック300g、卵1~2個、せりなどの青菜適量

1)トックはしばらく水にさらしておく。
2)鍋に鶏ひき肉、酒、醤油を入れて、そぼろ状になるよう、ほぐしながら炒める。
3)ひき肉の色が変わったら、水を5カップ加える。
4)煮立ったら、ザルにあげたトックを加える。
5)トックが浮いてきたら、卵を溶いて加え、青菜をのせていただく。

*青菜は三つ葉、ほうれん草、小松菜などなんでも構いません。
*海苔をちぎってのせていただくのも、とても美味しいです。

バックナンバー

ごあいさつ

第1回 蕪、酒粕、豆乳のスープ

第2回 黒豆、シナモン風味

第3回 鶏だしスープのトック(韓国雑煮)

第4回 干し大根のソテー、ケッパーソース

第5回 冬のジャム、生姜とはちみつ風味

第6回 おかき、三種

第7回 スパイシーチョコレートケーキ

第8回 カリフラワーのサブジ

第9回 春菊ペーストのパスタ

第10回 雪ノ下の天ぷら

第11回 長葱のクリームチーズ和え

第12回 春キャベツとささみの蒸し煮

第13回 新玉葱、ドライトマトのマリネ

第14回 サンドイッチフィリング、三種

第15回 クレソン、生姜のお稲荷さん

第16回 新じゃが、プルーンの煮込み

第17回 うちのトマトパスタとルッコラのサラダ

第18回 筍のピクルス

第19回 牛蒡(ごぼう)と胡桃のキャラメリゼ

第20回 おからたっぷりのスコーン

第21回 人参のサラダ、人参のポタージュ

第22回 生らっきょうのフリット、ローズマリー風...

第23回 味付け卵、八角風味

第24回 アイリッシュソーダブレッド

第25回 イカ、トマト、ミントの炒め

第26回 梅味噌、梅味噌豆

第27回 塩豚、茹で豚

第28回 ガーリックトースト

第29回 ローズマリーポテト

第30回 葉唐辛子、鶏肉のカレー

第31回 夏のキムチ三種

第32回 ラタトゥユ、ガスパチョ

第33回 生姜ジュース

第34回 セミドライトマト

無花果(いちじく)のソテー、サラダ、白味噌和え

第36回 南瓜(かぼちゃ)のグリル、玉葱のソース

第37回 緑のサラダ、赤のサラダ、黒のサラダ

第38回 蕎麦粉のガレット

第39回 柿、ディルのクリームチーズ和え

第40回 蛸(たこ)、青海苔のクリームソースパス...

第41回 ドライフルーツ、ナッツのケーキ

第42回 豚のスペアリブ、棗(なつめ)の煮込み

第43回 焼き芋、レモンバターソース添え

第44回 野菜ルーのカレー

第45回 コジード・ア・ポルトゲーザ(ポルトガル...

第46回 鰯の塩焼きとカルド・ヴェルデ

第47回 ヨーグルトパンケーキ

最終回 牛すじの煮込み


アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。


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