第27回 塩豚、茹で豚

フリーマーケットに参加してきました。

フリマは、春と秋に1回ずつ必ず行う
我が家の年中行事の一つです。

どのくらいやっているのだろうと考えてみると、
なんとフリマ歴25年でした。
 
 
まだ世の中に、フリーマーケット
という言葉がなかった頃、
近所の大型スーパーの駐車場で
ガレージセールという名前で開催されたイベントに
母が子供服を売りに行ったのが最初です。

家が片付く上に、不要品がお金に変わる
ということに開眼した母は、
それ以来毎年、春と秋の気候の良いときに
必ず参加するようになりました。

最初は、母について
お手伝いをしていただけでしたが
面白いように売れるので、
自分のものも売ってみたくなりました。

小さな頃から料理の他、裁縫が好きでした。
小学生のときからミシンを踏んでいたので
下手ながら、自作のエプロンや洋服がありました。

ある時、夏休みの課題で作った
上下のツーピースを出したところ
なんと2000円で売れてしまいました。

確か、中学1年の時だったので
そのときの2000円は大金でした。

私もこのとき、すっかり開眼しました。
提出し終わって用のなくなった
夏休みの課題がお金になるなんて!
 

最近は、みなとみらいにある日本丸の前で
開催されるフリマに参加しています。

良原家の行事でもあるので
離れて暮らすようになった今も
妹、母、父と日にちを合わせて参加します。
 
日々、暮らしていると
いつのまにか物が増えます。

間に合わせのものは
極力買わないようにしているのですが、
それでも要らないものが
気付くとそこにあるのです。

趣味が変わるということもありますし、
引き出物や、誰かから頂いたもの、
それは欲しくないのに、何かを買ったら
おまけでついてきてしまう、ということも。

正直、自分の趣味に合わないものは
家には置きたくありません。
我が家は賃貸なので、この家は
お金を支払って借りているのですから
なおさらです。

押し入れであっても、納戸であっても
そこにはお金を支払っているわけです。

お金を払っている空間に、
要らないものを置いて
スペースを使ってしまうなんて、
無駄だなあと思います。
 

フリマの前には、家の隅々まで
要らない物がないかチェックします。

我が家で、唯一例外の
商売道具である楽器、楽器周りのものは除いて、
徹底的に処分します。

この徹底処分はいつもわくわくします。
次々と段ボールに投げ込んでいくと
簡単に部屋中がすっきりしてきます。

洋服は冠婚葬祭用以外は
1年着なかったら処分します。

まだきれいで、衣装になりそうなものは後輩に、
着古したものはフリマに。

家のあちこちにある雑貨も、
1年を基準にきちんと使ったかどうか
チェックします。

さらに、使っていたものでも、
本当にそれが必要か、好きかどうかと考えます。

例えば台所にある鍋やお皿もです。
スプーン1本までも、です。

好きでもなく、何とも思わないものを惰性で使うのは、
それこそもったいないと思うのです。
好きなものを、やっぱりこれはいいなあと
使うたびに思ってこそ、物を大事にしている
と言えるような気がします。
 

今回、イギリスのアンティークショップで買った
スプーンを手放してしまいました。
旅の思い出のある素敵なスプーンでしたが
口に入れたときの味が好きではなかったのです。

20代くらいの女の子が
カワイーと言って買ってくれました。
気に入ってくれた人が使ってくれるほうが
ずっといいと思います。
 

フリマ好きの母のおかげで、
家は片付いているほうだと思います。

今年もスーツケース3つ分の不要品を
処分することができました。

何かを衝動買いしそうになると、
またそんなもの買って、すぐフリマ行きよ
という母の声が聞こえてきます。
おかげで無駄なものを買わずに
すんでいると思います。

母は、とにかくきれい好きです。
不要品が処分できるフリマは、
母の性格にうってつけと言えます。

料理をするときも、とてもきれいです。
調理を終えて、食卓につくときには
流しも、コンロもピカピカになっています。
潔いくらいに、すっきりとしています。

作る料理も、複雑なものはなく、
潔いものが多かったように思います。

そんな潔い母の料理の中でも、
特に好きだったのは茹で豚です。

作り方も至ってシンプル。
豚を茹でるだけ、です。

シンプルでも味が良ければ、
満足度が高く、飽きることもありません。

お皿の向こう側が肩ロース、
手前がバラ肉です。

夜は、先週の梅味噌と、にんにく醤油をタレに、
穫れたてのたくさんの大葉とともに頂きました。

次の日のランチは、ダンナさんが
沖縄の宗像堂からパンを買ってきてくれたので、
ご近所の山角のパンと一緒に
大好きなサンドイッチに。

パンに味噌やマスタードをぬって、
庭から穫ってきたばかりのバジルや胡瓜とともに、
茹で豚をのせてサンドしてみると
さっぱりと美味しく頂けました。
 

茹でる前、
買ってきたらすぐに塩をすり込み、
塩豚にしておきます。

一晩置くだけでも、旨味がぐっと引き出されます。
数日置くと、日々風味豊かになり、
かつ保存もできます。

あんまりおすすめはできませんが、
腐る直前ぎりぎりが、肉らしい味、
もっと言うと、獣らしい味がして
これまた美味しいのです。
 

できるだけシンプルに暮らす、のが目標です。
物にも、情報にも埋もれたくはありません。

料理もしかり。
複雑な調理法は、ときどき
外で頂ければ十分です。

家ではできるだけ潔く、シンプルに。
あれこれ必要とする料理ではなく、
片付けもさっとできるようなものならば、
毎日、苦もなく楽しく取り組めると思うのです。
 

そうそう、徹底処分したあとは、
必ずといっていいほど、いい仕事が入ります。
部屋に空間を作ることで、
新しい物事が入りやすくなるのかもしれません。(2009年7月7日更新)

コラム

塩豚、茹で豚


材料:豚肩ロースブロック(またはバラ肉ブロック) 500g程度、 塩 大さじ 1、
   長葱 1本、 にんにく 2かけ、 生姜 1かけ、 酒 カップ1

【塩豚】

1)豚肉の水けをふきとった後、塩をまんべんなく手ですりこむ。
2)密閉容器に入れて、冷蔵庫で保存する。水が出るので、1日1回は確認して捨てる。
3)次の日から食べられるが、3日間ほどたつと、旨味が出てさらに美味しい。

*保存期間は、実際は長く持つのですが、保存状況によりけりなので、
 1週間程度を目安に使い切ってください。
*塩豚を作る際、ローズマリーなど香草を一緒に入れておくと、
 風味が付いてまた美味しいです。

【茹で豚】

1)豚肉のかたまりを、熱したフライパンに入れて、全体的に焦げ目をつける。
2)鍋に1リットル程度の水、ぶつ切りにした長葱、薄切りにした生姜、酒、豚肉を入れ、
  強火で煮る。
3)途中、アクが出たら取り除き、弱火にして30分ほど煮る。
4)竹串を差してみて、透き通った汁が出たら、火を止めてゆで汁に入れたままで冷ます。
5)スライスして、好みのタレをつけて頂く。

*茹で汁は美味しいエキスが出ているので、スープなどに利用してください。

バックナンバー

ごあいさつ

第1回 蕪、酒粕、豆乳のスープ

第2回 黒豆、シナモン風味

第3回 鶏だしスープのトック(韓国雑煮)

第4回 干し大根のソテー、ケッパーソース

第5回 冬のジャム、生姜とはちみつ風味

第6回 おかき、三種

第7回 スパイシーチョコレートケーキ

第8回 カリフラワーのサブジ

第9回 春菊ペーストのパスタ

第10回 雪ノ下の天ぷら

第11回 長葱のクリームチーズ和え

第12回 春キャベツとささみの蒸し煮

第13回 新玉葱、ドライトマトのマリネ

第14回 サンドイッチフィリング、三種

第15回 クレソン、生姜のお稲荷さん

第16回 新じゃが、プルーンの煮込み

第17回 うちのトマトパスタとルッコラのサラダ

第18回 筍のピクルス

第19回 牛蒡(ごぼう)と胡桃のキャラメリゼ

第20回 おからたっぷりのスコーン

第21回 人参のサラダ、人参のポタージュ

第22回 生らっきょうのフリット、ローズマリー風...

第23回 味付け卵、八角風味

第24回 アイリッシュソーダブレッド

第25回 イカ、トマト、ミントの炒め

第26回 梅味噌、梅味噌豆

第27回 塩豚、茹で豚

第28回 ガーリックトースト

第29回 ローズマリーポテト

第30回 葉唐辛子、鶏肉のカレー

第31回 夏のキムチ三種

第32回 ラタトゥユ、ガスパチョ

第33回 生姜ジュース

第34回 セミドライトマト

無花果(いちじく)のソテー、サラダ、白味噌和え

第36回 南瓜(かぼちゃ)のグリル、玉葱のソース

第37回 緑のサラダ、赤のサラダ、黒のサラダ

第38回 蕎麦粉のガレット

第39回 柿、ディルのクリームチーズ和え

第40回 蛸(たこ)、青海苔のクリームソースパス...

第41回 ドライフルーツ、ナッツのケーキ

第42回 豚のスペアリブ、棗(なつめ)の煮込み

第43回 焼き芋、レモンバターソース添え

第44回 野菜ルーのカレー

第45回 コジード・ア・ポルトゲーザ(ポルトガル...

第46回 鰯の塩焼きとカルド・ヴェルデ

第47回 ヨーグルトパンケーキ

最終回 牛すじの煮込み


アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。


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