第28回 ガーリックトースト

先週は、物をどんどん手放す話を書きましたが、
いらないものを捨てていく一方で
どうしても手放せないものがあります。
いるかどうかのチェックを何十年もくぐりぬけ、
圧倒的な指示を得て、我が家に残っている、
一生つきあっていきたいと思うものです。

台所周りのものの中にも、
長く活躍しているお気に入りがあります。
それらがないと落ち着かないほどで、
私の片腕とも言えます。

それらを紹介しようと写真を撮ってみると、
ほとんどが貿易商の父が、私の小さな頃に
どこかの国から持って帰ってきたものや、
仕事で取引していたものばかりでした。
それらのデザインやフォルムに、
とてつもない愛着を感じるのはもちろん、
小さい頃からそばにあったものだからか、
心が不思議と落ち着くのです。

第7回にも書きましたが、
父の仕事の関係で、家には
今でいうレトロモダンな海外の雑貨が
ごろごろとありました。
生活の中にしっかりと馴染んでそこにあったので、
特別なものとは思っていませんでしたが、
初めて一人暮らしをするというときに、
いざ揃えようとすると、同じようなものは
そうそう売ってないのだということに気付きました。

そこで引っ越しの際に、お気に入りのものは、
こっそりと持って来てしまいました。
それらは全部、30~40年選手ですが
まだまだ我が家で活躍しています。

ドイツ製の缶切り
使い込まれて、貫禄さえあります。
ずっと台所に置きっぱなしなので、
油まみれ、手あかまみれでもあります。
重さがあって、とても丈夫です。

缶のふちにひっかけて、赤のハンドルをまわすと
子供の力でも簡単にまわり、
するすると缶を開けることができます。
妹は小さな頃から、この缶切りしか使ったことがなかったので、
小学校の家庭科の授業で、普通の缶切りを初めて手にし、
全く使えず、恥ずかしい思いをしたのだとか。

シルバーポットとミルクピッチャー
材質が違うので、おそらくそれぞれ、
違う国からやってきたものと思います。
しばらく使われたあと、何故か
実家の物置に放置されているのを見つけ、
救出する思いで持って来ました。
ほぼ毎日現役で働いてもらっています。

保温ポット
家では、ドイツのポットと呼んでいたのですが、
今改めて、確認してみると
ドイツ語と英語、そしてmade in Japanの文字が。
日本からドイツに輸出されていたものかもしれません。
今でも保温性が落ちることなく、
冬に暖かいお茶をいつでも頂くのに、
とても重宝しています。

アメリカ製のガーリックプレス
もう何十年もにんにくをつぶしてくれていますが、
全く壊れることなく、ほれぼれするほど
力強い働きをしてくれています。

にんにくとは、
このプレスでつぶすものだと思っていたので、
にんにくをおろすという概念は
大人になってから知りました。
それほど、簡単に、そしてきれいに素早く
にんにくをつぶしてくれるのです。

実は、しょうがをおろす、という概念も
これまた大人になるまでなかったのです。
というのも、このガーリックプレスで、
あの固いショウガもなんなくつぶしていたからです。
そんな荒手の使い方にも、耐えて
全く衰える気配もありません。
昔のものは、本当に丈夫に出来ているのですね。

私が、このガーリックプレスを持っていってしまってから
仕方なく母が、別のものを購入したそうですが、
私たちの荒っぽい使い方では、すぐ壊れてしまい
もう3~4代目なのだそうです。
このプレスの恐るべき耐久性。
私の次の世代にも使ってもらいたいです。

ガーリックプレスを使うと
簡単ににんにくをおろすことができるので、
にんにくの出番は多い方かもしれません。
 

料理に使うのはもちろん、
一番簡単で好きなのはガーリックトーストです。

よくあるレシピでは、にんにくをパンにこすりつける
とありますが、それでは指ににんにくの匂いがついてしまうし、
ひとつひとつ塗り込むのも、結構時間がかかるものです。

私は、もっと簡単に
美味しいオリーブオイルにつぶしたにんにく、
塩、ハーブなどをあらかじめ混ぜておいて、
ボウルなどでパンとざっと和えてしまいます。
その後、オーブンなどで焼くだけ。
とても簡単にできます。

パンがとても好きで、ついつい買いすぎてしまうバケットは、
スライスして冷凍しておきます。
それらを思い立ったときに、いつでもガーリックトーストに。
冷凍してあったものも、
オイルで和えることで固くなりすぎず、
オイルとともにしっかりとにんにくが染み込んで、
食欲のそそる味になります。
いろんな種類のパンやバケットを混ぜて焼いてしまうのも、
味の変化があって面白いです。
今日は、CICOUTEとえんツコ堂のバケットです。

疲れていたり、カラダがだるかったり、
忙しい日が続くときには
いつもより多めににんにくやしょうがを使います。
丈夫なガーリックプレスのおかげで、
とても手軽な調味料になっていると思います。
これからどんどん暑くなる夏に向かって、
にんにくはさらに美味しく感じますね。
今年も大活躍してくれそうです。(2009年7月14日更新)

コラム

ガーリックトースト


材料:バケット 1/2本、 オリーブオイル 大さじ3、 にんにく 1かけ、 
   塩 小さじ1/2、 パセリなどのハーブ 適量

1)ボウルに、オリーブオイル、みじん切りにしたパセリ、塩、すりおろしたにんにくを
  入れて混ぜる。
2)スライスしたバケットを加えて、ざっと和える。
  耐熱容器にパンを移し、ボウルに残ったソースもすくってパンの上からかける。
3)200度に温めておいたオーブンで約6~8分程度焼き、
  カリっと仕上がったら、熱いうちに頂く。

*オーブントースターでも焼けます。焦がさないように気をつけてください。
*オーブンの温度、焼き時間は各家庭によって調節してください。

バックナンバー

ごあいさつ

第1回 蕪、酒粕、豆乳のスープ

第2回 黒豆、シナモン風味

第3回 鶏だしスープのトック(韓国雑煮)

第4回 干し大根のソテー、ケッパーソース

第5回 冬のジャム、生姜とはちみつ風味

第6回 おかき、三種

第7回 スパイシーチョコレートケーキ

第8回 カリフラワーのサブジ

第9回 春菊ペーストのパスタ

第10回 雪ノ下の天ぷら

第11回 長葱のクリームチーズ和え

第12回 春キャベツとささみの蒸し煮

第13回 新玉葱、ドライトマトのマリネ

第14回 サンドイッチフィリング、三種

第15回 クレソン、生姜のお稲荷さん

第16回 新じゃが、プルーンの煮込み

第17回 うちのトマトパスタとルッコラのサラダ

第18回 筍のピクルス

第19回 牛蒡(ごぼう)と胡桃のキャラメリゼ

第20回 おからたっぷりのスコーン

第21回 人参のサラダ、人参のポタージュ

第22回 生らっきょうのフリット、ローズマリー風...

第23回 味付け卵、八角風味

第24回 アイリッシュソーダブレッド

第25回 イカ、トマト、ミントの炒め

第26回 梅味噌、梅味噌豆

第27回 塩豚、茹で豚

第28回 ガーリックトースト

第29回 ローズマリーポテト

第30回 葉唐辛子、鶏肉のカレー

第31回 夏のキムチ三種

第32回 ラタトゥユ、ガスパチョ

第33回 生姜ジュース

第34回 セミドライトマト

無花果(いちじく)のソテー、サラダ、白味噌和え

第36回 南瓜(かぼちゃ)のグリル、玉葱のソース

第37回 緑のサラダ、赤のサラダ、黒のサラダ

第38回 蕎麦粉のガレット

第39回 柿、ディルのクリームチーズ和え

第40回 蛸(たこ)、青海苔のクリームソースパス...

第41回 ドライフルーツ、ナッツのケーキ

第42回 豚のスペアリブ、棗(なつめ)の煮込み

第43回 焼き芋、レモンバターソース添え

第44回 野菜ルーのカレー

第45回 コジード・ア・ポルトゲーザ(ポルトガル...

第46回 鰯の塩焼きとカルド・ヴェルデ

第47回 ヨーグルトパンケーキ

最終回 牛すじの煮込み


アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。


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