第40回 蛸(たこ)、青海苔のクリームソースパスタ
料理の基本にまつわることは
小さな頃に母に教わった程度です。
それでも今まで特に勉強しなくても
作ってこられたところを見ると
随分とたくさんのことを
教えてくれたのだなと思います。
でもひとつだけ、
魚、特に生ものを扱う
知識が欠落しています。
母も、父も山奥の出身だからかもしれません。
食卓に登る魚と言えば、干物か煮物がメイン。
新鮮なぴちぴちした魚介類は
外で食べるものだと思っていました。
ならばいっそのこと専門の方に教わりたい!と思い
ご近所の料理家、「食の工房 たかはし」さんに
お願いしました。
たかはしさんは、魚をメインとしたケータリングの他
ジャムやデザートなどをお店に卸したりしています。
豪快で、明るくて、とても頼りになる方です。
友達も引き連れて、まずは魚の買い出しです。
たかはしさんのおすすめは
横浜、生麦にある生麦魚河岸通り。
江戸時代に魚市場としてとても栄えたそうです。
ここ最近は、随分と減ってしまったそうですが
今も通りには魚屋さんが軒をつらねます。
品揃えが豊富なところもあれば
専門店もあります。
こちらはあなごの専門店。
貝類をメインに扱うところも。
きっと何十年もここで商売をしているおばあちゃん。
しこいわしを頂きました。
ひなびた通りは、
みなとみらいのような作られた横浜とは
全く違った表情があります。
常連のたかはしさんに、
お店の方が自然に話しかける。
行き交うたびに会話がはずむ。
こちらの方がずっと好きです。

すぐ近くは海。
通りの風情とはどうも様子が違うと思ったら
つい最近、埋め立てられて堤防ができたのだそうです。
残った干潟はほんの一部分だけ。
足元に並ぶ貝ばかりの地面を見ると
埋め立てる前の干潟は
さぞや美しかったのだろうなあと思います。
さて、たかはしさんのお宅にお邪魔して
早速、料理スタートです。
まずは、蛸から。
お魚屋さんで内蔵の処理はしてもらいました。
たくさんの塩を揉み込み、足をひっぱってしごいていきます。
こうしてあくを取るのだそうです。
すっかりしなっとなったら、
足の先をちょんと湯に浸して、くるりとさせて
あとは熱湯で湯がいて行きます。
先に足をくるりとさせたので
花のように開きました。
こちらはホッキ貝。
大ぶりな貝からえぐりとると
食べられるのはほんの少し。
さっと茹でて、赤身をおびたところを
まな板に叩き付けると、身が縮んで
おなじみのホッキ貝になりました。
真鯛を開きます。
こんな大きな魚をさばくのは
実は初めてです。
結構力がいりますね。
経験値の差でしょうか、
小さな鯵や鰯のほうがまだ簡単かもしれません。
3枚におろして、お刺身、昆布締め、
あら煮、赤出汁などに。
筋子をいくらに。
以前、一人でトライしたときは
筋子を守る皮がうまくとれなくて
四苦八苦したのでした。
たかはしさん流には
網の上にのせて、落としていくのが簡単なんだそう。
見事にきれいにはずれました。
熱湯で洗って、ゴミ、皮をとりのぞき、
醤油と酒に浸して、半日置けばできあがり。
美しい仕上がりです。
他にもしこいわし、こはだをお刺身にしました。
魚の匂いに、猫のパンダが
落ち着かない様子でこちらを見ています。
さて、用意ができたので
お待ちかねのご飯を頂きます。
あれこれ頑張った後のお昼ご飯は最高です。
新鮮で生臭さなど全くない爽やかな料理。
付け合わせの梨、柿が入った白和え。
くるみやピーナッツが入っていて
コクや甘みが凝縮されていました。
水っぽさが全くないのが、またいい。
さすがです。
生姜、蕪、胡瓜の糠(ぬか)漬け。
あら汁。
美味しくないはずがありませんよね。
建築家である旦那様が建てた家は
緑と一体化していて、とても心地よい風が流れます。
さて、家に帰り、お土産に頂いた
蛸を使っていくつかのレシピにトライしました。
蛸でよく作るのは、春菊とのコチュジャン和え。
春菊の柔らかな葉の部分を生で使って、
コチュジャン、醤油、すりおろしたにんにくと生姜、
ごま油と一緒に手で混ぜ込みます。
コチュジャンの甘みによって、
足りなければ甘さをプラスして仕上げます。
もう少し寒くなると、柔らかで美味しい春菊が出ます。
そのときにぜひ作って欲しいです。
もうひとつ好きなのは、蛸とバジルのパスタ。
まだ庭で元気なバジルを使って、楽しみました。
それにヒントを得て、
お味噌汁用に買っておいた生の青海苔とも
組み合わせてみました。
海の香りのパスタになりました。
豆乳のクリームなので、
見た目よりずっとあっさりしています。
魚に関してはまだまだ経験値が足りません。
手開きも三枚おろしも
いまいち素敵に仕上がりません。
たかはしさん曰く
回数をこなすこと、が一番だそうです。
演奏でも同じですものね。
私がアコーディオンを教えるときに
口を酸っぱくして言っている言葉と同じでした。
おまけに。
いくらはご飯のお供として
鮭、大根おろしと合わせて頂きました。
透き通るようないくらが、ぷちっと割れたときに
口に広がる優しい醤油の味。
旦那さんは三杯おかわりしました。
美味しい以外に言葉が見つかりません!(2009年10月20日更新)
蛸、青海苔のクリームソースパスタ
材料(2人分)
パスタ 200g、 茹で蛸 100g、 青海苔(生) 大さじ2、 豆乳 1/2カップ、
オリーブオイル 大さじ1、 にんにく 1かけ、 唐辛子 2本、 白ワイン 1/4カップ、
塩、胡椒 適量、 醤油 ひとたらし(好みで)
1)フライパンにオリーブオイルをひき、すりおろしたにんにくと唐辛子を入れ、
ごく弱火で香りを出す。
2)パスタを海水程度に塩味をつけた熱湯で、茹で始める。
3)そぎ切りにした蛸、青海苔、白ワインを入れて、強火でさっと炒める。
4)豆乳を入れて、弱火にして煮詰め、塩、胡椒で味を整え、クリームソースを作る。
5)アルデンテに茹でたパスタとソースを合わせ、好みで醤油をひとたらしする。
最後にオリーブオイル(分量外)をひとふりして強火にして、
乳化(さらにもったりとする)させ、すぐに火からおろし、盛りつけて頂く。
*最後の醤油は隠し味程度です。なくても良いですし、好みで調整してください。
*ソースを作るときも、合わせるときも手早く仕上げてください。
















































































アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。
