第6回 おかき、三種
旅に出ると、いろんな食材に出会うのが
楽しみのひとつです。
1月に写真展とライブで訪れた愛媛、松山では
「松山あげ」(油抜き不要で、サクサクとした油揚げ)
をたくさん買い込みました。
お蕎麦やうどんの具にぴったり。
コクが出て、風味豊かになります。
ダシが染み込むと、モチモチになるのも楽しい。
美味しさにつられて
ここのところずっと
お蕎麦を頂いています。
さて、毎日の食材といえば
なるべく近所で買う、と決めています。
我が家から数分のところにある商店街。
こじんまりとしていますが
一通りのお店が並び、大概のものは手に入ります。
食材を買うなら
八百屋さん、魚屋さん、肉屋さん、
果物屋さん、お豆腐屋さん。
日々の食事には困りません。
食材についていろいろ質問できるのも楽しいです。
品種による味の違いを
いつも丁寧に教えてくださいます。
近くで買いものをすることで
フードマイレージの節約にもなりますしね。
食材ではありませんが
金物屋さん、食器屋さんも楽しいです。
こういったお店では、
おそらく長い間、陳列棚にあっただろうと思われる
掘り出し物に巡り会うことがあります。
例えば、古い我が家にもしっくりくる
すっかり錆びてしまったフックがあったり、
おばあちゃんの家から持って帰ってきた
古い洋食器の同じシリーズがあったり。
そんなアイテムを見つけた時は
きっと私のために何十年も待っていたに違いない!
と嬉しくなってしまいます。
今ではどれも我が家の大事な一員です。
もうひとつ欠かせないのが
和菓子屋さんです。
丁寧な仕事ぶり、特に
あんこの美味しさは素晴らしく
お団子もおはぎも
何度お世話になったかわかりません。
買い物の途中に一串買って
食べ歩きというのも楽しみなんです。
その和菓子屋さんでは、年末になると
お店でついて作った鏡餅を売ります。
陳列棚も、時にはお店の外にまで
所狭しと大小様々なお餅が並びます。
スーパーで売られている
パックに入ったものとは違い
お餅の存在感、美しさに圧倒されます。
美しいものをひとつ飾るだけで
部屋の雰囲気ががらりと変わるのがわかります。
鏡開きの日になると
すっかり乾燥して
お餅には自然にヒビが入ります。
手でちぎっていくと
もろもろと崩れてゆきます。
難しいときは、金槌で割れば簡単です。
縁起物ですから、包丁は御法度ですね。
なかなか割れずに大きなものはぜんざいに
細かくなったものは、おかきにします。
日差しが暖かな日に
天日で干して、さらに乾燥させてください。
透明感がでてくれば乾いたサインです。
揚げたてに、お醤油をじゅっと垂らし
熱々をほおばれば
香ばしさにやみつきになります。
手作りすると、新鮮さ、美味しさの
歴然とした違いにびっくりしますよ。
どこの家庭にもある調味料で
三種のシンプルな味付けにしました。
小さな頃、実家近くの商店街に
よくおつかいにいきました。
けれど大きなスーパーができて
日に日にさびれていくのがわかり
とても悲しかったことを思い出します。
小さいながら、大人になってお金を稼いだら
たくさんお買い物をするから待っててね
なんてことを思っていました。
本当は、フードマイレージがどうのではなく
住んでいる町の商店街がさびれていくのを見るのが
嫌なのかもしれません。
ご高齢の店主さんも多いので
年に何軒かは廃業してしまいます。
それでも少しでも長く
この町を支えてもらうために
買い物は近所で、と思うのです。(2009年2月3日更新)
おかき、三種(塩こしょう、醤油、胡麻甘味噌)
材料:鏡餅を割り、乾燥させたもの 適量 好みの油 適量
A : 塩とこしょう 適量 B : 醤油 適量
C : 味噌、みりん、てん菜糖(または砂糖)、白すり胡麻を同量
1)鏡餅は、手である程度割り、大きなものはビニール袋などに入れて
金槌で叩き、およそ2センチ角にした後、
天日で乾燥するまで干す。
2)中温(170度程度、湿らせてから拭いた菜箸を油に入れたとき、
シュワシュワと音を立てて泡立つ)に熱した油に、お餅をいれていく。
その後ふくらむので、隙間を作り、たくさん入れすぎない。
3)膨らむときの油のはねに注意し、時々裏返しながらじっくりと揚げる。
4)きつね色になったら、パッドなどに取り出し、油をしっかりと切る。
5)熱いうちに、A、Bはかけて、Cはごく弱火にした鍋で混ぜ合わせ、おかきを絡めて、頂く。
*味つけは、濃い目のほうが好みであれば、
ビニール袋などにお餅と好みの味を入れて振ったり、
揉み込むとしっかりと付きます。
*味付けは、青のりと塩、バジルなどの乾燥ハーブと塩、
カレー粉と塩、醤油と七味唐辛子、味噌には砕いたナッツなど
無限に考えられるので、お好みを探してみてください。
*油は、仕上がりが油っこくならないオリーブオイルや
グレープシー ドオイルがおすすめです。
*冷めると固くなるので、熱々を頂くのがおすすめです。























































アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。
