第7回 スパイシーチョコレートケーキ
レーズンバター、サラミ、チェダーチーズ。
私が小さな頃、好きな食べ物は?
と聞かれたときの答えです。
お酒のつまみですから
可愛げがないですね。
当時、まだ近所のスーパーでは
ほとんど見かけなかったのですが
海外帰りの父のスーツケースの中に
それらがあったのです。
食べた事のない味に虜になりました。
父は貿易商です。
年に何度も海外へ飛び
ときには仕事先のいろんな国の人が
家にもやってきました。
海外から帰って来たときの
父のスーツケースは
宝箱です。
おかえり!の言葉もそこそこに
妹や弟とスーツケースを開けるのが
何より楽しみでした。
洗濯物の間から出てくる
見たこともない食べ物や
あざやかな色合いのパッケージ、
不思議な置物などのお土産に
狂喜乱舞しました。
ホテルから持って帰って来ただけの
石けんや香水でさえ、日本にはない
きらびやかなデザインやきつい香りに
うっとりしたものです。
飛行機に乗ることも
まだまだ珍しいことだったので
よく機内での食事のスプーンやフォークを
持って帰ってきてくれました。
子供の手のサイズに良かったのと
小さなロゴが好きで
ANAのスプーンは私のお気に入りでした。
ANA、JAL、ルフトハンザ、
白と青のストライプはエアーフランス。
今でも使っています。
父はその頃、文房具を取引していました。
日本のものと合わせて、いろんな国の
今で言うレトロモダンな文房具がごろごろしていました。
家にひと通りの文房具があったので
学校で使う物もわざわざ買ってもらえることはなく
随分と大人びた物を使っていました。
きづけば、それらのデザインにすっかり馴染み
逆に子供っぽいものやファンシーな可愛すぎるものが
小さな頃からずっと、そして今も苦手です。
引き出しを探れば、楽しいものがいろいろ出て来ます。
さて、大人になり
たまたま音楽が生業となるのですが、
当初はキーボードやそれにともなう
機械類ばかりをいじっていました。
ある日、作曲した曲のアレンジに
アコーディオンを使ってみようと中古楽器屋を訪れ
古いイタリア製のアコーディオンを目にした時
すっかり忘れかけていた
自分の好みを思い出しました。
色使いの面白さ、フォントの質感
海外の香りのするデザインは
どれもこれも、小さな頃に囲まれていた
あの大好きな文房具や雑貨と
同じ匂いでした。
それまで機械しか相手にしていなかったので
自分の好きなデザインの楽器で
音楽ができると気づいたことは
まさに目から鱗が落ちる思い。
それからすぐに、機械類を売り払い
アコーディオンやオルガン、トイピアノといった
古い海外の楽器を買いあさり
このブログに流れているような
ノスタルジックな音楽を作る
きっかけになったのです。
私の好みのルーツは
小さな頃に大好きだった
父のお土産や仕事道具のデザインに
あるのだと思います。
そばにあるだけで
とても安心します。
その質感が自分にしっくりくるのです。
私が楽器を続けている理由のひとつです。
さて貿易商の父の最近の仕事は
食材の輸入です。
チョコレートを扱っています。
いつの頃からか、冬になると
実家はチョコレートで埋まるようになりました。
(よく羨ましがられます。)
おかげでチョコレートが
簡単に手に入るようになり
そのまま食べるだけでは飽き足らず
ありとあらゆるチョコレートを使ったレシピに
挑戦しました。
チョコレートフォンデュや
ショコラショーもいいですが
ここ数年はこのチョコレートケーキばかりを
焼いています。
スパイスとチョコレートの組合せが
後をひき、飽きずに食べられるのが
良いのかもしれません。
チョコレートの味をしっかり堪能したあとに
ピリッとスパイスを感じるのが好きです。
チョコレートケーキはバレンタインに限らず
年中焼いています。
写真は去年の旦那さんの誕生日に
焼いたものです。
旦那さん曰く、私と結婚して良かったことは
チョコレートが食べ放題なこと
なんだとか。
父に感謝ですね。(2009年2月10日更新)
スパイシーチョコレートケーキ
材料:チョコレート(カカオ分70%程度がのぞましい)200g、
卵 3個(卵白、卵黄に分ける)、てん菜糖(砂糖) 50g~100g(好みで加減)、
牛乳 50cc、
薄力粉 50g、ベーキングパウダー 少々、
黒こしょう、白こしょう、クローブ、シナモン、レッドペッパー 適宜
1)チョコレートは簡単に割り、湯煎で溶かし、牛乳を加える。
または小鍋に牛乳とチョコレートを入れ、極弱火で焦げないように温めて溶かす。
2)卵白3個を角が立つまで泡立て、メレンゲを作る。
3)卵黄と砂糖を混ぜ合わせ、スパイス類とともに、
あら熱をとったチョコレートと混ぜ合わせる。
4)合わせてふるった薄力粉とベーキングパウダー、チョコレート、
メレンゲをさっくりと混ぜ合わせる。
5)型に流し込み180度のオーブンで約30分焼き、冷ましてから頂く。
*我が家のオーブンは火力が若干弱めです。温度、分数は目安として、
各家庭で調整してください。
*スパイスは好みでいろんな組合せを試してみてください。3)の時点で
味見をすると仕上がりの予想がつきます。
*薄力粉、ベーキングパウダーを入れずに作ると、
むっちりとして濃厚な生地に仕上がり、これもまた美味しいです。
*ドライフルーツを刻んで入れるのも美味しいです。
私はラムレーズンをよく入れます。
*焼いた次の日の方が、しっとりとして美味しくなります。























































アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。
