第47回 ヨーグルトパンケーキ
古いものが好きです。
古ければなんでも良いというわけではないのですが
古いものの中に、好きなものが多いのです。
子供の頃の記憶にリンクするのです。
気に入って大切にしていたもの、
実家に何気なくあったもの、
おばあちゃんの家の匂いのするもの。
記憶の片隅に残っている
懐かしい色やデザイン。
気付くとそういうものを選んで
引き寄せてしまいます。
一生懸命探しているわけではないのに
つい目にとまってしまうのです。
家具や雑貨といったものだけでなく
商売道具の楽器や、今住んでいる家も
そうした記憶の延長上に見つけました。
出所は皆違うのに、不思議とどれも馴染むのは、
同じ記憶につながるからかもしれません。
一方で、物を溜め込むことが好きではありません。
好きで集めたものも、長年大切にしてきたものも、
あまり出番がなくなってしまうと
手放すことにしています。
できれば、それらをゴミにはしたくないので
友人にプレゼントしたり、フリマに出したり
マニアックなものはオークションに出したりして
どこかでまた使ってもらえるよう
行き先を探します。
去年、結婚した友達夫婦に
長年我が家で愛用した
椅子と棚をプレゼントしました。
以前の家までは、活用していたのですが
今の家に越してきてから、
出番がなくなっていたのです。
友達の家で、元気に活躍しています。
天童木工の曲木の椅子。
布地を張り替えてもらって、
我が家にいたときとはすっかり違う顔つきに。
見違えるほどきれいになりました。
我が家ではよく、アコーディオンを乗せていました。
この家では、光りがたっぷりと入る場所で
のんびりと庭を眺める位置に鎮座しています。
左側に見える棚。
どこの国かは忘れましたが輸入ものの家具です。
私が一人暮らしを始めるとき
唯一、実家から持って来た家具でした。
20年以上の仲でした。
途中、一度分解して、組み直したり、
何年かあとには、色も塗り直したりして
つきあってきました。
いろんな家のいろんな部屋で
洋服を乗せたり、雑貨を乗せたり、
あるときは食器棚として、あるときは調味料棚として
活躍してくれました。
友達の家では台所で
しっかりと働いています。
引き取ってくれた友達は
織物作家の中島寛子さんです。
椅子を張り替えた優しい色合いの布も
彼女の作品です。
彼女達の生活にしっくりと馴染んで
活用されているのを見ると嬉しくなります。
手放して本当に良かったなと思います。
やはり物は、たくさん使ってこそ
価値があると思うからです。
白いカーテンのかかる部屋に
大きな織り機がありました。
この家の主のような佇まいです。
ここから美しい作品がたくさん生まれています。
彼女の作品も、とても丁寧に作られ
長く愛用できるものばかりです。
そんな作品を生み出す彼女だから
大切に使ってくれるとわかっていました。
椅子も棚も喜んでいるに違いありません。
私が使わなくなった物をあげたように
使われなくなった物を
もらってくることもあります。
多いのはおじいちゃん、おばあちゃんの家からでしょうか。
もう主のいなくなった家には、
使ってほしそうに待っている物がたくさんあります。
全てを持って帰ってくるわけにはいきませんが
帰るたびに、我が家で活躍してくれそうな物を
救済してきます。
中でも一番のお気に入りは、
シンプルな白い洋食器です。
このブログの料理にも、
何度となく登場しています。
おばあちゃんの食器棚から拝借してきたものです。
少しかすれた金色の細い縁取りが
品があってとても好きです。
不思議なもので、似たようなものも自然に集まります。
カップはおばあちゃんの家の別の棚から、
大皿は、近所の古い食器屋さんのデッドストック、
小皿は、お友達を経由して知人のお母様の食器棚から。
出身は違うのに、ひとつのシリーズのようです。
これらのお皿には、ほぼ毎日
いろいろな料理が盛りつけられます。
どんな料理も受け止めてくれるシンプルさが
毎日登場する理由かもしれません。
あれこれ乗せて試していますが、
やはり洋食器には洋食が似合いますね。
特に、ハンバーグ、オムレツ、ムニエルのような
町の洋食屋さんにあるメニューなどは
とても美しく映えます。
甘いものなら、フレンチトーストやホットケーキ、
パンケーキなどが最高の相性です。
優しい色合いに焼き上げて、
挽きたてのコーヒーとともに頂きます。
今日は甘く焼いた金柑も添えて。
おばあちゃんはこのお皿に何をのせていたのだろうと
考えながら、ゆっくりと頂くのは
何よりも幸せな時間です。
いつからか、レトロな家具や雑貨が
流行るようになりました。
物を大切に長く使うということにも
気を配る人が増えたように思います。
物も、役割とその為の形を持って
この世に生まれてきています。
だからそれが何であっても、一度手にしたら、
とことん使って欲しいなと思います。
使ってみたけれど、
必要がない、出番がないというときには
捨てることなく、もらってくれる誰かを
探してみるのをおすすめします。
もしかしたら、欲しい人が
すぐ近くにいるかもしれません。
行き先が決まれば、ゴミも増えませんし、何より
その物がまた役割をもって活躍することができます。
自分自身も役割を与えてもらえなかったら
こんなに悲しいことはありませんよね。
それと同じだと思うのです。
何でもとことん使ってみる。
そうするとどんな物でも愛着がわいて
そのうちに大切な思い出にもなってくれます。
彼女の家での撮影中、
洋梨のケーキが焼き上がりました。
実はこの日の夜、我が家で
ご近所の皆さんを招いての忘年会がありました。
その差し入れに彼女が用意してくれたものです。
甘く柔らかな匂いのケーキを持って遊びにきてくれた
忘年会の様子は、来週に書く予定です。
このブログは、来週で最終回になります。(2009年12月15日更新)
ヨーグルトパンケーキ
材料:小麦粉 カップ1、 ヨーグルト カップ1、 卵 1個、
甜菜糖(または砂糖) 大さじ1、 ベーキングパウダー 小さじ1、
塩 ほんのひとつまみ、 豆乳(または牛乳) 50cc程度で調節、
オリーブオイル 適量
1)小麦粉とベーキングパウダーは合わせてふるっておく。
2)ボウルに甜菜糖と卵を入れてよく混ぜ合わせ、ヨーグルトと塩も加えて混ぜておく。
3)粉類を少しずつ入れてさっと混ぜ合わせる。豆乳を少しずつ加えて
さらりと垂れるくらいの種に調節する。
4)熱したフライパンにオリーブオイルを引き、余分なオイルを取り除いたあとに、おたま1杯程度の
種を流し込む。弱火でじっくり焼き、表面にぽつぽつと穴が空いて来たら、裏返してさらに焼く。
5)竹串を刺して、何もついてこなくなったら、お皿に移す。
好みでバター、メープルシロップなどを添えて、温かいうちに頂く。
*もっちりとした生地のシンプルなパンケーキです。生地の中に、
洋酒につけたドライフルーツ、オレンジピール、レモンピール、林檎などを入れても美味しいです。
*豆乳は全部入れる必要はありません。分量は、生地が適度なゆるさになるように調節してください。




























































アコーディオン・トイピアノ・鍵盤ハーモニカ・オルガンなど、ノスタルジックな味わいをもつ楽器を得意とする鍵盤奏者、音楽家。空気公団・ハンバートハンバート・Akeboshiなど、多くのアーティストのライブ・レコーディング・CM・TVの音楽などに、さまざまな楽器でかかわるほか、ソロプロジェクトであるtrico!やギタリスト・オオニシユウスケとのユニットsmall colorでもアルバムをリリースしている。最近は、スイス絵本の名作『こねこのぴっち』のDVD化にあたり、音楽を担当(2009年1月発売予定)。またインテリア誌「かわいい音楽すてきな暮らし」でレシピ・料理・スタイリングを担当。日々の暮らしを大切にしながら、さまざまな活動を楽しんでいる。

音楽家・良原リエさんによる、暮らしのエピソードとそれにまつわる日々のご飯のレシピ。本人撮影による四季折々の写真とともに、<ありふれた材料でできる簡単な料理をよりよくするためのコツ>を提案していきます。好きなモノ・コトに囲まれた、実のある暮らしを大切にしているリエさんならではの切り口が、「普段の生活」の大事さをあらためて教えてくれるはず。
